鴨長明の方丈記の冒頭に、

“ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。”

とあります。流れている川は一見、一つのものとして捉える事が出来るが、実際は、川の水は全て動的に入れ替わっており、同じもの、同じ状態である事は一時もない。世の中のものすべて、人も人間社会も同じことだ、ということです。

福岡伸一氏が”生物と無生物のあいだ”や、”動的平衡”の中で指摘されてますが、人間の身体の細胞も常に入れ替わり、3,4か月で全ての細胞が新しいものに入れ替わっているとの事です。(この期間については諸説ありますが、数か月程度という認識で間違いはなさそうです)

ホクロでさえ、皮膚の下から新しい細胞が押し上げられてくる時に、ホクロの情報を得ながら黒くなり、古い細胞と入れ替わって、見た目が変わらない、新しいホクロになっているそうです。不思議ですね。

人間が、3,4か月経って、見た目がそうそう変わらないのに、じつは分子単位では全く別物になっているのです。非常に不思議ですが、このような動的平衡を続けているからこそ、細胞が極端に古くなってしまうこともなく、かつ、新しい環境にも適宜対応することが出来るのです。

ですから、身体の隅々まで、全ての細胞がうまくこの新陳代謝が出来る様に、適度に使う…刺激を与えないと、その動的平衡に乗り遅れてしまう部位が出てきてしまい、衰えたり病気になってしまうのでしょう。

 

繰り返させない 淀ませない

また、この川の流れにおいて、上流から下流に行くに従って、清い水から少しずつ汚れた水になり、海へ注がれます。同じ所を二度流れることはありません。 同じ所を二度流れると必要以上に汚れてしまうのです。

淀ませてもいけません。 流れから外れ、水たまりのように淀んでしまうと、水は腐り、異臭を放って、バイ菌やボウフラの温床になってしまいます。

 

これは、人間の身体、身辺、社会も同じことで、世の中の新陳代謝に逆らい、流れを止めてしまったり、順番に逆らったりしてしまうと重大な問題が起こり得ります。

 

食べ物で考えると、共食いがそれに当たります。動物が遺伝子の近い種を食べてしまうと、必要な栄養分を摂れるのと同時に、分解できない毒も取り入れてしまうため、病気になってしまいます。牛が肉骨粉を飼料とした結果、狂牛病になってしまった例があります。

これは川が同じ部分を二度流れるのと似てますね。

人間も、なるだけ遺伝子の遠い、植物や魚類を食べた方が良いのです。食事に関してはマクロビオティックをメインに のページにもありますが、”近くて遠いもの”を食べた方が自然の摂理に逆らわないと言えるようです。(物理的には近くで採取できるもので、生物学的には遠いものを食べた方が良い)

 

持ち物に関しても、動的平衡を念頭に置きたいものです。必要なものだけを手に入れ、必要のないものは入手しない。使っていたけど、今後使わない物は、手放して必要とされる場所に返す。

持ち物を、自分の場所に淀ませないことで、物にとっても、自分にとっても良い状況になるのです。スペースが広がることで、次に必要なものが自分から入ってきてくれるでしょう。